最近、小さいお店の経営者から、AIをどう使えばいいか聞かれることが増えた。
そのたびに、ひとつだけ先に伝えていることがある。
「AIの言うことを、そのまま信じない方がいい」
意外な顔をされる。良いことばかり聞いていたからだと思う。でも、これは早めに知っておいた方がいい。
AIとの壁打ちは、甘々の壁と分かってやる
AIは、優しい。何を聞いても、否定しない。だいたい肯定してくれる。
「いいアイデアですね」「その方向で間違ってないと思います」。
これは、AIが正しいから優しいわけじではない。
ユーザーの気分を害さない方向に、答えを寄せる性質があるからだ。
だから、こういうことが起きる。
「この広告文、どう思う?」と聞く。「いいと思います」と返ってくる。
それを信じて出す。反応がない。
AIは嘘をついたわけじゃない。
ただ、AIにとっての「いい」は、目の前の相手を心地よくすることであって、
実際に売上につながるかどうかとは、別の話だったというだけだ。
もうひとつ、知っておいた方がいいことがある。
AIは、聞かれたことには答える。でも、聞かれなかったリスクは、自分からは言わない。
「このキャンペーン案、どう?」と聞けば、AIはその案の良い面を中心に答える。「この案は法律的に大丈夫か」「競合はもうやり尽くしていないか」——これは、こちらが聞かない限り、向こうから出てこない。
つまりAIは、
「思ってたのと違う結果になった時」に、
「そんなつもりじゃなかった」を作り出しやすい道具でもある。
これは、AIが悪いという話ではない。
包丁と同じだと思う。使い方を知らずに握れば、手を切る。知っていれば、料理に使える。
じゃあ、どうすればいいのか。
まず、AIの返事を「意見」ではなく「たたき台」として扱う。
AIが「いいですね」と言ったことは、まだ何も証明されていない。
実際にお客さんに見せる、小さく試す、反応を見る——ここまでやって、初めて答えになる。
次に、AIに聞くときは、良い面だけでなく悪い面も聞く。
「この案のリスクは?」「これで失敗するとしたら、どんな理由が考えられる?」
自分から聞かない限り、AIはこちらの気分を守ろうとする。
だから、こちらから壊しにいく質問をする必要がある。
そして、最後は人に見せる。
AIとだけ話して決めたことは、実は誰にも試されていない。
お客さん、スタッフ、取引先。生身の人間の反応を通していない案は、まだ「案」でしかない。
AIは、考える手間を減らしてくれる。
でも、考えたことが正しいかどうかまでは、保証してくれない。
そこだけは、これからも人間の仕事だと思う。
AIに聞く前の、5つの確認
新キャンペーンアイデアを思いついた場合
□ 1. それは「たたき台」か「答え」か
AIが「いいですね」と言った時点では、まだ何も証明されていない。
□ 2. リスクを3回聞く
「失敗するとしたら理由は?」「法律的に引っかかる部分は?」「お客さんが面倒に感じる点は?」
□ 3. 誰にも見せずに、決めていないか
お客さん、スタッフ、取引先。生身の反応を通す。
□ 4. 自分の現場の情報を、ちゃんと教えているか
その店の常連の反応まで、AIは知らない。
□ 5. 「AIが言うから」で、思考を止めていないか
最終判断は、いつも自分。


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