「5年で打ち切り」って聞いたけど…私たち、最初から対象外でした
最近、「60歳未満の妻には、遺族年金が5年で打ち切りになるらしい」というニュースが話題になっていましたね。
SNSでも「そんなのひどい」「家族を支える制度がまた壊される」なんて声が飛び交っていました。
でもこれ、よく読んでみると「もともと制度の枠に入っていた人たち」の話なんです。
実はその前に、「最初から制度の対象になっていない人たち」がいます。
たとえば、自営業やフリーランスで国民年金しか入っていない人たち。
私もそのひとりです。
「遺族年金」とひとことで言っても、制度の仕組みはけっこう複雑。
今回のニュースをきっかけに、「私たちはどうなるの?」という視点から、あらためて調べてみました。
遺族年金制度の基本構造とは?
日本の公的年金制度は大きく分けて2つ。
- 国民年金(基礎年金):主に自営業・フリーランスなど
- 厚生年金:主に会社員・公務員など
それぞれの遺族年金制度には、以下の違いがあります:
▷ 遺族基礎年金(国民年金)
- 支給対象:子のある配偶者、または子本人
- 子どもがいないと、配偶者には一切支給されません
▷ 遺族厚生年金(厚生年金)
- 支給対象:原則、配偶者に支給
- 年齢や子の有無で制限はあるものの、支給対象は広い
つまり、フリーランス・自営業の家庭では「子どもがいないと何ももらえない」という構造です。
しかも、「寡婦年金」や「死亡一時金」などの制度も条件が厳しく、実際に受け取れる人はごく一部。
今回の制度改正は「厚生年金」だけの話
話題の「5年で打ち切り」は、厚生年金の一部だけが対象です。
これまでは条件を満たせば、生涯にわたって受給できた遺族厚生年金。
しかし2025年度からは、60歳未満の妻などが「最長5年」までの支給に変わる見直しが実施されます。
つまり…
この議論にすら入れていないのが、国民年金のみ加入者なんです。
国民年金だけだと、遺族保障はほぼゼロ?
厚労省によると、国民年金の第1号被保険者(フリーランス・自営業)は約1,387万人。
公的年金加入者全体の約2割を占めます。
でも、この人たちがもしものとき――
配偶者に支払われる遺族年金は「子どもがいない限りゼロ」です。
国が副業・フリーランス・個人事業主を推している一方で、
年金制度は旧来の会社員モデルのままなのです。
「知らないと、何ももらえない」
夫が年金を払っていたから、いざというときには「何か出るだろう」と考えていた人が、
実際には「支給対象外」だったと気づくケースもあります。
制度が“ある”ことと、“もらえる”ことは別の話。
申請しないともらえないし、条件に当てはまらなければそもそも存在しないのと同じです。
最後に:知って守る、自分と家族の生活
今回の制度改正は、厚生年金加入者向けの一部見直しであり、
国民年金加入者には直接関係ありません。
でも、逆にそれが問題の本質です。
制度は「誰を守るために設計されているのか」が問われているのです。
自営業やフリーランスこそ、まずは制度を知ることから
公的制度は、知っている人にしか届かないことがあります。
そして、「自分には関係ない」と思っている人こそ、実は一番知っておくべきかもしれません。
遺族年金の仕組みは、静かで、難しくて、わかりにくい。
でも、知らなかったでは済まされない――そんな場面が、ある日突然やってきます。
だからこそ、まずは知ること。
そして、「生きていく自分を、自分で守る」という選択を、今から少しずつ始めていきたいと思っています。
なぜこのテーマを取り上げたのか? 若い人にはピンとこないかもしれません。
でも、実感がある私たち世代だからこそ、ちゃんと伝える役目があると思って、書いてみました。
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